【画像診断】胆道気腫と門脈内ガスの見分け方って?【Q&A】
胆道気腫と門脈内ガスの見分け方って?
肝臓に異常な空気を見つけたときは何を考えればいいですか?
胆道気腫と門脈内ガスの見分け方について教えてください!
こういった疑問に答えるために今回は胆道気腫と門脈内ガスの見分け方について解説していきます。
本記事の内容
●胆道気腫とは
●門脈内ガスとは
●参考文献リスト
放射線医学Q&Aでは放射線医学に関する情報を一問一答形式でご紹介しています。
これまでにご紹介したQ&Aについては【こちら】からチェックすることができます。
胆道気腫とは
胆道気腫は何らかの原因により胆管内に逆行性に空気が流入することで生じる。
胆道系の処置後など一般的には病的意義に乏しいことが多い。
ただし注意が必要なのは、
〇胆嚢炎の合併症である胆嚢消化管瘻孔が生じている場合
→胆道系から消化管内に移動した胆石によるイレウスを伴うことが多い。
〇気腫性胆管炎
→臨床的に症状が重篤であることが多い。
画像所見
肝門部を中心とした点状~線状の分布を示すairを認める。
(胆汁は求心性に流れているため肝門部優位の分布となる。)
ちなみに今まで存在していた胆道気腫が急に消失した場合は胆道内圧の上昇を反映した所見の可能性があります。急性胆管炎や胆道狭窄を疑う所見がないか注意してください。
門脈内ガスとは
門脈内ガスの病態としては、
〇虚血や潰瘍などによる腸管の粘膜障害部位からの腸管内ガスの移行
腸間膜動脈閉塞症、非閉塞性腸管虚血症(NOMI)、消化管潰瘍、消化管穿孔、腸炎、外傷
〇腸閉塞などによる腸管内圧の上昇
腸閉塞、イレウス、内視鏡検査後
〇胃壁内気腫、腸管気腫の存在
などが考えられている。
→腸管壊死などの致死的な疾患と腸炎などの保存的加療が可能な疾患とが含まれているため病歴や腹部症状、他の検査と併せて門脈内ガスの病的意義を判断する必要がある。
画像所見
肝表から2㎝以内の辺縁に樹枝状の形状のairを認める。
(門脈は中枢側から末梢へと血液が流れるため辺縁優位の分布となる。)
肝臓だけでなく胃や腸間膜静脈などにも異常なairが存在しないかを評価することで責任病変を同定できる場合がある。
また、腸管壁の浮腫や高吸収化/菲薄化、腸間膜の浮腫を伴っている場合は腸管虚血の可能性を念頭に置いて造影検査が必要となる。
ちなみにCTで腹腔内の異常なairを探す場合にはウインドウ幅を広げることで空気と空気以外の低吸収な成分を区別しやすくなるので便利です。
参考文献リスト
本記事を作成するに際して参考にした書籍や論文をご紹介します。
どれも勉強になる内容ばかりですのでぜひご一読ください。
ビギナーのための腹部画像診断-Q&A アプローチ-
それでは以上です。
お付き合いいただきありがとうございました。